12月は一年でいちばん「見られる」月です。ご家族の面会が増え、ケアマネージャーさんの訪問もあり、広報誌や施設のホームページにも写真が載ります。そのぶん、レク担当の方からよく聞こえてくるのが「飾りつけが、どうしても子どもっぽくなってしまう」という悩みです。赤と緑のモールを貼って、サンタの顔を並べて――気づけば保育園の教室と同じ雰囲気になっている。この記事では、同じ材料・同じ予算のまま「大人が誇れるクリスマス」に変えるための具体的なルールと、11月から逆算した準備の進め方をまとめました。
クリスマスの飾りが「子どもっぽく」なる3つの理由
見た目が幼く見えてしまうのには、はっきりした原因があります。センスの問題ではありません。
- 色が多すぎる:赤・緑・金・銀・青・白……と色数が増えるほど、幼い印象になります。逆に色数を絞るだけで、一気に落ち着いて見えます
- モチーフが「顔」ばかり:サンタやトナカイの顔は、どうしてもキャラクターらしさが出ます。ツリー・星・リース・キャンドルといった形だけのモチーフに寄せると大人っぽくなります
- キラキラの面積が広い:金銀のモールや折り紙は、広い面積に使うと安っぽく見え、狭い面積に使うと上品に見えます
この3つを裏返したものが、そのまま次の章のルールになります。
大人っぽく見せる3つのルール
ルール1:色は3色まで。そのうち1色は「くすんだ色」に
使う色をあらかじめ3色に決めてしまいます。おすすめの組み合わせは次のとおりです。
- 深い緑+生成り(クリーム色)+金:いちばん外しがない王道の配色です
- えんじ色+生成り+こげ茶:赤を「えんじ」に落とすだけで、ぐっと大人びます
- 紺+白+銀:夜空と雪のイメージ。窓辺の飾りに向きます
ポイントは、真っ赤ではなく「えんじ」、黄緑ではなく「深い緑」のように、少しくすんだ色を選ぶことです。色画用紙を買うときに濃い色味のものを選んでおくだけで、完成度が変わります。
ルール2:金銀は「全体の1割以下」に
金銀の折り紙やモールは、星・リボン・キャンドルの炎など、小さなパーツだけに使います。面積にして全体の1割以下が目安です。「もっと華やかにしたい」と感じたときは、金銀を増やすのではなく白を増やすと、明るさだけが上がって品が保てます。
ルール3:同じ形をきれいに並べる
飾りが散らかって見えるのは、いろいろな形をバラバラに貼っているからです。同じ形・同じ大きさのものを、等間隔に並べるだけで、素人っぽさが消えます。星を20個作ったら、壁に横一列に等間隔で並べる。これだけでディスプレイらしく見えます。ご利用者一人ひとりが作ったパーツを並べる形なので、「全員の作品が飾られる」という参加の実感とも両立します。
難易度別・クリスマス工作3案
同じテーブルに要介護度の違う方が座っていても手が止まらないよう、難易度を分けた3案を用意しました。いずれも1回45分を想定しています。
①ちぎり絵のクリスマスツリー(やさしい・45分)
準備物:深い緑・黄緑・生成りの折り紙またはお花紙、四つ切り画用紙、のりまたは両面テープ、金の折り紙(少量)
- 画用紙に、職員があらかじめ大きな三角形(ツリーの形)を鉛筆で描いておきます
- ご利用者に緑系の紙を指でちぎってもらいます。ハサミを使わないので、手指に力が入りにくい方も参加できます
- 三角形の内側に、ちぎった紙を重ねて貼っていきます。濃い緑と黄緑を混ぜると奥行きが出ます
- 最後に金の折り紙で作った星を、てっぺんに1つだけ貼って完成です
声かけ例:「きっちり貼らなくて大丈夫です。少し重なっているほうが、木らしく見えますよ」
②毛糸まきのミニリース(ふつう・45分)
準備物:紙皿または厚紙のドーナツ型(直径15cm程度)、毛糸(深緑・生成り)、木工用ボンド、リボン、木の実や松ぼっくり
- 紙皿の中央をくり抜いてドーナツ型にしておきます(職員が事前に用意)
- 毛糸の端をテープでとめ、ドーナツにぐるぐる巻きつけていきます。巻くだけなので、会話をしながらでも進みます
- 全体が隠れたら端をボンドでとめ、リボンを結びます
- 松ぼっくりや木の実を2〜3個だけ貼って完成です。たくさん付けないほうが上品に見えます
毛糸を巻く動作は、両手の協調と指先の運動になります。完成品は軽いので、居室のドアに掛けて持ち帰っていただくこともできます。
③透ける窓飾り・ステンドグラス風の星(しっかり・45分×2回)
準備物:黒い画用紙、カラーセロハン、カッター(職員のみ使用)、両面テープ
- 職員が黒い画用紙を星や雪の結晶の形に切り抜き、内側に細い枠を残しておきます(1回目の前日までに準備)
- 1回目:ご利用者にカラーセロハンを好きな大きさに切って、枠の裏側から貼っていただきます
- 2回目:全員分を窓ガラスに等間隔で貼ります。貼る位置を指さして決めてもらうのも立派な参加です
昼間は外光で色が透け、夕方は廊下側から見て光ります。「作品が施設の景色になる」タイプの工作なので、ご家族の面会時にいちばん話題になります。
壁面は「大きなツリー1本」より「小さな連なり」
クリスマスの壁面というと大きなツリーを1本作りがちですが、実は小さなモチーフを連ねるほうが、作るのも飾るのも楽で、見た目も整います。
- ガーランド型:ひもに三角形の旗や星を等間隔で吊るす。パーツが小さいので、1人1枚の分担にしやすい形です
- 窓辺の連なり:上の③の窓飾りを、窓枠に沿って一列に並べる
- ミニツリーを並べる:円すい状に丸めた画用紙のツリーを、受付カウンターに大小交ぜて5〜7個並べる
いずれも「同じ形を等間隔で」のルールが効きます。12月後半に年末年始の飾りへ入れ替えるときも、ひもを外すだけ・並べたものを片付けるだけで済むのが利点です。
11月から逆算する準備スケジュール
12月は行事が集中します。クリスマス会当日になって慌てないために、11月のうちに動いておきたいことを週単位で並べました。
- 11月第1週:配色を3色に決め、材料を一度にまとめて購入します。買い出しを1回で終わらせるのが、いちばん大きな時短です
- 11月第2〜3週:職員側の下ごしらえ(型紙づくり、画用紙の切り抜き、紙皿のくり抜き)。ここを先に終えておくと、12月のレクは「ご利用者が作る」だけになります
- 11月第4週:秋の壁面を外し、クリスマスの背景(紺や生成りの模造紙)だけ先に貼ります
- 12月第1〜2週:レク本番。上の工作3案を週替わりで実施し、できたパーツをその都度飾っていきます
- 12月第3週:クリスマス会当日。作品が並んだ空間で写真を撮ります
- 12月26日以降:飾りを外し、年末年始の飾りへ入れ替えます
とくに効くのが11月第2〜3週の下ごしらえです。ここが終わっていれば、12月のレクは準備ゼロで始められます。とはいえ、年末は会議も記録も増える時期です。下ごしらえの時間がどうしても取れない月は、1人分の材料が最初から袋にまとまっているレクキットを使うのも一つの手です。ELLのキットは1人分がA4サイズの袋1つに入っていて、のりやセロテープを使わずに作れるよう設計されているので、当日は袋を配るところから始められます。
当日の進め方と声かけ
クリスマスの工作は「上手に作れるかどうか」に意識が向きやすく、手が止まる方が出ます。始まりと途中の声かけを決めておくと安定します。
- 始めに:「今日作ったものは、ぜんぶ玄関に飾ります。ご家族にも見ていただきますね」と、飾る場所を先に伝えます。目的がはっきりすると手が動きます
- 途中で:「少しずれているほうが、手作りらしくて素敵です」。きれいに揃わないことを先に肯定しておきます
- 手が止まった方に:「この紙をちぎるところだけ、お願いできますか」と、工程を1つだけ切り出して渡します
- 終わりに:全員のパーツを並べた状態を全員で見ます。「これ、みなさんで作ったんですよ」の一言が、次回の参加率に効きます
また、クリスマスの思い出は世代によって大きく違います。「子どもの頃、クリスマスに何か食べましたか」「ケーキはいつ頃から食べるようになりましたか」といった問いかけは、手を動かしながらの会話として盛り上がりやすい話題です。
撮影と広報:12月の作品はそのまま資産になる
12月に作った作品は、写真に撮っておくと翌年そのまま使えます。撮るときのコツは3つです。
- 作品だけのカットを1枚:人物が写っていないカットは、掲載許可の確認なしで広報に使えます
- 手元のカットを1枚:作っている最中の手元は、顔が写らないのに雰囲気が伝わります
- 全体のカットを1枚:飾り終わった壁全体。翌年の「完成見本」になります
この3枚を題材ごとにフォルダ分けして残しておくと、翌年の企画会議が「写真を見て決めるだけ」になります。型紙も一緒に封筒へ入れて保管しておけば、来年の準備時間は半分以下になります。
まとめ
クリスマスの飾りを大人っぽく仕上げるコツは、特別な材料でも技術でもありません。色を3色に絞る・金銀は小さく使う・同じ形を等間隔に並べる。この3つだけです。そして11月のうちに下ごしらえを済ませておけば、12月は「作って、飾って、写真を撮る」に集中できます。
とはいえ、年末の現場でまとまった準備時間を確保するのは簡単ではありません。「今年は準備まで手が回らないかもしれない」と感じている方は、1人分の材料と大きな文字の説明書がセットになったELLのレクキットを、一度お試しいただくこともできます。無料サンプルのお申し込みはこちらのページから、施設名とご住所をご記入いただくだけで承っています。実際の手ざわりと難易度を確かめたうえで、12月の計画に組み込むかどうかをご判断ください。